「…慎、也」
「この先、麗奈の気持ちに応えたとしても、俺は麗奈を後悔させることしかできないかもしれない」
眉を寄せて、苦しそうに。
彼はそんな、ことを言う。
あたしは必死に、首を横に振った。
「後悔なんか、しない」
「…利乃のこと、引きずってるかも」
「前にも言ったでしょ、あたしも利乃が好きだからいいの!」
「…けど、」
……ああ、もう!
いい加減もどかしくて、彼の両頬にぱちんと手を当てる。
背伸びをして、こつんと額を重ねた。
「…後悔するかしないかは、あたしが決める!慎也が隣で安心して笑ってくれたら、あたしはそれでいいの!」
…目を、そらさないで。
あたしは、ここにいる。
慎也のことが好きな、『あたし』がいるから。
頬から手を離して、びしっとその鼻先に指をさした。
「いい?わかった!?」
慎也はそんなあたしを見て、目を丸くして。
…そして眉を下げて、穏やかに笑った。
「……うん」
その笑みはやっぱり寂しそうで、あたしは苦しくなる。
…伝わった、の…?
不安になって、見上げる。
慎也は目を細めて、あたしを見た。



