青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「……何も言わずにキスしたのは…その、ごめん」


あたしと目が合わせられないのか、慎也は赤い顔をして、逃げるように声を出す。

…その姿が可愛くて、こんなときなのに胸がぎゅうっとなった。

すると、目をそらしていた彼の瞳と、目が合う。

ドキリと、心臓が鳴った。


「麗奈のことが…っていうのも、…否定は、しない」


…それって。

顔が、一気に熱くなっていく。

けど慎也は、目を伏せて「でも」と言った。


「………まだ、待って」


力なくつぶやかれた言葉に、あたしは何も言えなくなった。

…待って、って…?

あたしは、眉を寄せる。

慎也は手のひらを、ぎゅっと握りしめた。


「…俺はまだ、…利乃から離れられない。…ごめん」


…また、『ごめん』。

慎也、あたしに謝ってばっかりだよ。

……何も、悪くはないのに。