「…じゃあ、また明日」
そう言って、彼はあたしの目の前から消えていく。
図書館から出て行く後ろ姿を、あたしは目を見開いて見つめていた。
……『また明日』なんて。
すごく素敵な、別れの言葉だけど。
今の君には少し、頼りなさすぎるよ。
「……っ!」
急いで駆け出すと、あたしは図書館を出た。
まだ図書館の階段を降りる途中だった慎也へ向かって、大きく口を開ける。
「……慎也!」
…けど、彼は振り返らない。
静かに階段を降りていく後ろ姿が、寂しくて。
…ねえ、待って。
お願いだから、こっち見て!
「……なんで、キスしたの!?」
どうにかして引き止めたくて、あたしの口から出たのはそんな言葉だった。
意図せずピタリと、慎也の動きが止まる。
……さすがにこれは、慎也も気にしてたり…?



