青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「…え?」

「どこに持ってくの」

ひょいっと積み上げた本を持ち上げて、あたしを見てくる。

ドキッとして、声が震えないように抑えながら、「…あっち」と机のある場所を指差した。

すると、慎也は何も言わず歩き始める。

トン、と机に本が置かれると、あたしは「ありがと」と懸命に目を合わせて言った。


慎也は十冊ほどある本を眺めたあとに、あたしを見る。

そして、小さく笑った。


「…麗奈、こんなに読めるの?」


……うわ。

なにその、笑顔。

『ごめん』なんて言って、突き放したくせに。

…ずるいよ、それは。


「…よ、読めるかもしれないじゃん」

「ハハ、頑張って」

その笑顔に、胸の奥が痛む。

…慎也。


慎也。


伝えたい言葉があるのに、息が詰まって上手く声が出ない。

もどかしさに眉を寄せるあたしを見て、慎也は目を細めた。