彼の後ろに、まっさらな青空が見える。
あたしは泣きそうになるのを堪えながら、眉を下げて笑った。
「…ぶつかって、それでも伝わらなかったら、どうしよう?」
「…それでも、だろ。伝わるって信じないと、やってらんねえよ」
あたしとトモは、泣かないように頑張って、笑う。
…あのふたりのほうが、ずっと辛いはずなのに。
おかしいね、あたしたち、今とっても苦しい。
あたし達が弱いからかな。
辛いよって、今にも口からこぼれてきそうだけど。
…でも。
「強くならなきゃ、いけないね。…頑張ろうね、トモ」
涙があふれて止まらないほど、苦しいわけじゃない。
寂しいなんて言ったって、この世界にひとりぼっちなわけでもない。
それなのに、ときおり無性に泣きたくなるのは、なんでだろう。
ふたりに比べたら幸せなはずなのに、ふたりのことを考えたら、こんなにも苦しい。
辛いよって泣き叫べるほど、辛いわけじゃない。
だから、逃げ場がなくて。
辛いってこぼせば、大人たちは『みんな辛いんだから頑張れ』って言う。
そりゃ、知ってるけどさ。
泣かないでいられるほどできた子じゃないし、そんなに強くもない。
どこかで辛いよってこぼさなきゃ、頑張れない。
……こんな僕らは、ダメな子ですか。



