「…で、相談したいことって?」
トモの声は、落ち着いていた。
…たぶんもう、わかってる。
あたしは「うん」と言って、さわさわ揺れる木の葉を見つめた。
「…利乃と、慎也のことなんだけど」
「うん」
「…どっちとも、ケンカしちゃったっていうか…怒っちゃった、っていうか」
「……うん」
苦笑いしながらトモを見ると、彼も眉を下げて笑っていた。
……わかってた、って顔だ。
さすがトモだなぁ、なんて思った。
「ダメだね、あたし。正面からぶつかりすぎたわ」
小さく笑って、眉を下げる。
…もっとあたしが、上手く言えたらよかったんだろうけど。
つい、抑えられなかった。
まだまだあたし、コドモだなぁ。
「…しょーがないよ。俺だって、利乃ちゃんに『逃げんな』って言ってやったし」
「えっ!?」
驚いて、トモを見る。
彼はつーんと唇を尖らして、「だって逃げてばっかだもん、あいつら」なんて言った。



