「まだ…諦めるのは、早いと思う」
「早くないって。そもそも、慎也には好きなひとがいるんだし」
「…でもっ………」
「いいの、もう。利乃も、色々協力してくれてありがと。いやー、あたし、高校のうちは彼氏できないかもなぁ〜」
んーっと伸びをして、はぁ、とため息をつく。
利乃は「麗奈ちゃん」と震えた声で言った。
「…まだ、諦めないで。きっと慎ちゃんは、麗奈ちゃんのことを好きになるから」
その言葉に、コップをきつく握りしめる。
あのときのキスを思い出して、胸の奥が痛んだ。
…もしも、あのキスが。
あたしを好きになってくれたから、したものだったとしても。
あたしは、ダメだった。
『ごめん』と、言われてしまった。
「…ならないよ。なっても、慎也はあたしの方には来ない」
「なんで?そんなのわかんないよ」
「わかる!」
あたしの声が大きくなると、利乃はびくりと肩を震わせた。
でも、こらえられなくて。
今まで抑えていた色んなものが、あふれ出してしまう。
怒り、じゃない。
ただただ悲しくて、悔しくて。
…利乃、利乃。
あたしは、あんたにとってどういう存在…?



