辺りに広がる水溜りに、青い空が映っている。
揺れる緑の木々から雫が落ちて、水溜りが跳ねた。
高い温度が、俺をあの頃へ還す。
肌を灼く太陽の眩しさが、麗奈と重なった。
『約束だよ』
利乃。
もうすぐ、夏が終わるけど。
俺たちは、いったいどこへ行けばいいんだろう。
*
「もしもし、利乃?」
天気雨が上がったあと、あたしは利乃に電話をかけた。
「今、家?…うん、ちょっと話したいことあるんだけど、お邪魔していいかな」
利乃の家へと歩きながら、なんでもない風を装って話をする。
けど少しの間話をしただけで、利乃には気づかれてしまった。
『…麗奈ちゃん、何かあったの?』
その心配するような声が、身体のなかを駆け巡る。
……やっぱり、あたし。
利乃のこと、好きだなぁ。



