「うわぁぁあん……」
……だからせめて、隠れて泣くことには、気がつかないでいて。
久しぶりに彼にしがみついて、大声で泣く。
慎ちゃんは眉を寄せて、目を細めて。
泣き止むまで、ずっと抱きしめてくれていた。
*
慎也と一緒に帰った日から、二週間。
補修も終わり、あたしは慎也を遊びに誘ったり、一緒に図書館に行ったりした。
行動力のないあたしにしては、本当によくやった。
今なら、普段情けないばかりの自分を、褒めることができる。
まだ志望校は具体的に決まらないけど、とりあえず大学は行くんだ、と思ってるから。
勉強していて損はないよね、と図書館で頭のいい慎也に国語を教えてもらったりした。
夏の太陽に肌を灼かれて、ときおり汗がにじんで。
高い気温とは違う原因で、顔が熱くなったりもしたけど。
少しずつ、けど着実に、慎也との距離は縮まっている気がした。
「はぁ、あっつい!ずっと図書館にいたーい」
そんな八月の、下旬。
お昼過ぎ、あたしは慎也と図書館から出て、街を歩いていた。



