青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「うわぁぁあん……」


……だからせめて、隠れて泣くことには、気がつかないでいて。


久しぶりに彼にしがみついて、大声で泣く。

慎ちゃんは眉を寄せて、目を細めて。


泣き止むまで、ずっと抱きしめてくれていた。






慎也と一緒に帰った日から、二週間。

補修も終わり、あたしは慎也を遊びに誘ったり、一緒に図書館に行ったりした。

行動力のないあたしにしては、本当によくやった。

今なら、普段情けないばかりの自分を、褒めることができる。


まだ志望校は具体的に決まらないけど、とりあえず大学は行くんだ、と思ってるから。

勉強していて損はないよね、と図書館で頭のいい慎也に国語を教えてもらったりした。


夏の太陽に肌を灼かれて、ときおり汗がにじんで。

高い気温とは違う原因で、顔が熱くなったりもしたけど。

少しずつ、けど着実に、慎也との距離は縮まっている気がした。



「はぁ、あっつい!ずっと図書館にいたーい」


そんな八月の、下旬。

お昼過ぎ、あたしは慎也と図書館から出て、街を歩いていた。