青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



…だから、引っ張って欲しかった。

私なんかとは比べ物にならないほど強い彼女に、慎ちゃんを捕まえて欲しかった。

…でもやっぱり、上手くはいかない。



「………もっと強く、なれたらいのになぁ」


何があっても泣かずに、彼の前で笑えていたら。

もう心配いらないよって、言えたら。

どんなに、幸せだろう。



「……なぁ、利乃ちゃん」


トモくんが立ち上がって、私へ手を差し出す。

その手をとって立ち上がると、彼は思い切り伸びをした。

そして、ドカッとさっきと同じ席に座る。

私はその後ろの席へ、座った。

私を優しい瞳で見つめてくるトモくんの横顔は、ふ、と笑って。



「…『強い人』って、泣かない人じゃないんだよ」



射抜くような視線をして、そう言った。

驚いて何も言えなくなる私に構わず、トモくんは窓の外の空を見つめて、目を細める。

そして、静かに目を閉じた。