…でも。
「…利乃ちゃんは慎也のこと、恋愛として好きなの?…友達として?」
その言葉に、私はくすりと笑った。
私は涙に濡れた目を細めて、「さぁ」と笑う。
トモくんはそんな私に、困ったように苦笑いを浮かべた。
そして、何も言わずに頭を撫でられる。
ふたりで床に座り込んだまま、窓から見える空が、彼の瞳に反射した。
「...利乃ちゃん」
優しい優しい手が、私の髪をなぞる。
涙は、いつの間にか引いていた。
けど、胸の奥底で暴れるどうしようもない感情は、消えなくて。
寂しいと、叫んでる。
『慎ちゃん』と叫んで、助けを求めたくてたまらない。
でもそんなことをしたら、きっとあの頃と同じだから。
…慎ちゃんを檻のなかに閉じ込めて、逃がすことができない。
だって私は、どうしようもない奴だから。
こうやって無理矢理にでも離れないと、私は彼から離れられない。



