「…利乃、ちゃ…」
「なんで私、こんなに弱いんだろう」
震えた声が、自分の口からこぼれ落ちる。
トモくんは私の言葉に、口を閉じた。
「なんで、強くなれないんだろ……っ」
悔しくて悔しくて、歯を食いしばる。
ボタボタと、涙が落ちる。
……幼かった、あの頃。
慎ちゃんの優しさと甘さにしがみついて、生きていたあの頃。
私は本当に、不安定だった。
時には、ひとりぼっちの家の中、過呼吸に陥ることもあって。
中学二年生の夏の夜、私は荒い呼吸のなか、どうしていいかわからなくて。
咄嗟に電話をかけたのは、慎ちゃんだった。
電話越しにでもわかるくらいに、私の呼吸は荒くて。
すぐに慎ちゃんが家へ上がり、階段を駆け上がってくる。
『利乃!』
バタンと勢いよく開けられた扉。
部屋のなかは、私の手で荒らされていた。
棚に置かれていたはずのものがあらゆる場所に落ち、洋服が散乱している。
確かそのとき、お母さんとの写真を入れた写真立ても割った。



