青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「…でもさぁ、利乃ちゃん。隠したくても、心は限界なんじゃねえの」


トモくんがまっすぐに、私の心の奥を覗き込んでくる。

知られたくない、私の本当の気持ちを暴きにくる。

………やだ。

やだ、やだ、やだ…!


「違う!」


掴まれた手首を振りほどき、「違う」と叫ぶ。

全然、限界なんかじゃない。

私は、平気。

泣かなくったって、彼がいなくたって、平気。

大丈夫だもの、私は強いから。


いつだって笑って、いられるもの。


ぐいっと手の甲で、目元を拭う。

少しだけ濡れているそれが、悔しくて。

唇を噛む私に、トモくんは「逃げんな」と厳しい声で言った。


「慎也からも自分からも!俺からも麗奈ちゃんからも逃げてさぁ。嘘ばっかで、利乃ちゃんの本音はどこ行ったんだよ!」


……だっ、て。

私の本音なんか、知らなくていい。

こんなワガママ、誰にも知られずに、消えてしまえばいい。

トモくんに掴まれた腕が、痛いはずもないのに痛む。

…離してよ。

私を弱く、させないで。