青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



慎也は、じっとあたしを見ていた。

そして、あたしと同じ、照れたようにはにかんで。


「……いいよ。帰ろっか」


なんて、優しい言葉をくれた。

嬉しさで飛び上がりそうになるのを、必死に抑える。

「…ほっ、ほんと!?」

「うん」

「うわぁ、ありがと!!」

「ハハ。麗奈、大げさ。あ、お昼どっかで食べて帰る?」

「えっ…うん!」

お昼ご飯、一緒に食べれるんだ。

頑張って誘ってみて、よかった。

神様、ありがとう…!

急いで鞄を持って、教室を出ようとする慎也の後を追う。

見上げれば、すぐ近くで笑う慎也がいて。

今まで、あたしにあの切ない笑みしか見せてくれなかったから。

その瞳にはいつだって、利乃がいたから。

今、確かに彼の隣にいるのは自分なんだと。


……そう思えるのが、すごく幸せだと思った。







しん、と。


誰もいなくなった教室は、静まり返っていた。