それから俺と利乃は、一生懸命にブレスレットを探した。
日が暮れ、子供は帰りなさいと言われる時間になっても、やめなかった。
どうせ、親は心配なんかしない。
時間を全く気にしていなかったのは、たぶん互いにそう思っていたからだろう。
『………あっ、これ!…っ、利乃ちゃん!これは!?』
堤防に張り付くように並べられたテトラポットの隙間に、それは落ちていた。
辺りが暗くなるなか、キラリと光るもの。
手を伸ばして、つかむ。
手を上げてかかげると、利乃は目を見開いた。
『そっ…それ!それだよ慎也くん!』
スカートを砂で汚して、利乃は俺のところへ駆け寄る。
俺の手のなかにあるブレスレットは、小学生が持つには少し大人っぽい、金色のチェーンだけのものだった。
渡すと、利乃は大事そうにそれを抱きしめる。
目を閉じ、顔を歪めて、『よかったぁ……』と涙をこぼした。
『ありがとう、慎也くん。一緒にさがしてくれて、見つけてくれて』
夜空に出た月が、青黒くなった海を照らす。
俺と利乃はテトラポットの上に座って、眺めていた。



