青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



「でも、やっぱり無理だった」


へら、と笑う。

慎ちゃんは眉を寄せて、「…そっか」と言った。

「…うん。ごめんね」

「……いいよ」

夜風が、慎ちゃんの黒髪を揺らす。

暑さでかいた汗が、冷やされていくのを感じた。


…寂しい寂しい、夏の夜。

私の家のガレージにも、慎ちゃんの家のガレージにも、車は一台も止まっていない。

…カレンダーをめくれば、もう八月だ。

夏の夜の匂いが、私をあの頃へかえす。


冷たい潮風が、私の頬を撫でた。






夏祭りから、数日後。

登校日があって、あたしたちは約二週間ぶりに四人で揃った。


「あっ、麗奈ちゃん!久しぶりー!」

「…そんなに久々でもないけど」

教室へ入るなり、利乃が抱きついてくる。

利乃とは、夏祭りのあとも一度会って遊んだし。

…けど。

いつも通り、教室の後ろの壁に寄りかかってしゃべっているふたりを見て、どきりとした。