青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



『………ごめん』


わかっていたはずの言葉なのに、なんでこんなにきついんだろ。

告白して後悔なんか、してない。

けど、自分で思っていた以上にあたしは、泣くのをこらえていたみたいで。

彼の瞳に確かに『あたし』が映ったこと、彼の頭の中を埋め尽くしたこと。

思い出せばどんどん涙がこらえきれなくって、やがてこぼれた。


……今まで失恋したことはあるけど、こんなに苦しいのは始めてだった。

なんだか今日は、初めてのことばっかりだ。

知りたくなかったなんて、思わない。

…思わない、から。

電車の中、窓の外を見つめながら声を押し殺して泣く。


どうか今も彼の心の中に、『あたし』が残っていますように。







「『親戚の子』って、どこにいんの」


ーーカララ…

隣のベランダの窓が、そんな声と共に開く。

家のベランダから花火を見ていた私は、そっちへ見向きもせずに「さぁ、どこでしょーね」なんて笑った。

色の無くした夜空は、やけに寂しい。

わずかにちらほらと見える星を見つめながら、「お祭り、どうだったの」と言った。


「慎ちゃん」


微笑を浮かべて、隣のベランダの手すりに腕を置く彼を見つめる。

夜空を見つめていた慎ちゃんは、いつもより少しだけ厳しい目で、私を見返してきた。