青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



…彼の瞳に映るには、もう告うしかないと思ったから。

今まで通りのあたしじゃ、どうやったって彼の視界には入れない。

その寂しい恋を、黙って見つめているだけの、あたしじゃ。

…だから、言うんだ。

彼を好きなあたしで、その瞳に映りたいから。


慎也は笑うあたしを見て、そして眉を寄せて、目を閉じた。


「………ごめん」


その真剣な声色に、胸の奥がじんじんと痛んでくる。

一言だけなのに、どうしてこんなに苦しく感じるんだろう。


「……うん。…こっち、見て」


あたしの言葉に、長いまつげが上がる。

彼はすごく申し訳なさそうに、あたしを見ていた。

…ほんと優しい、なぁ。

泣きそうに、なるよ。


「ふ、そんな顔しないでよ。フラれるのわかって言ったんだから、慎也はそんな顔しなくていいんだよ」

「……でも」

「いいの」

目を伏せて笑うあたしに、彼の手が伸びる。

けど、頬に触れる直前でそれは、止まった。

…今まで、容易く触れてきたのに。

胸の底が、じくじくと灼かれていく。

それでもあたしは、笑った。


「…大丈夫だから。返事、ありがとう」


…お願い。

あたしの精一杯の強がり、崩さないで。