「……誰だと、思う……?」
花火の音が、あたしを震わせる。
怯えと、緊張と、色んなものが混じり合って、おかしくなりそう。
慎也の瞳に、反射した花火の光と、あたしが映っている。
ぎゅう、と手のひらを握りしめた。
あたしはまっすぐに慎也を見つめて、目を細めて笑った。
彼の瞳にどうか、今まででいちばん可愛いあたしが、映っていますように。
「……慎也、だよ」
ーードン。
大きな大きな青い花火が、夜空に舞った。
慎也の瞳が、ゆっくりと見開かれる。
あたしは覗き込むようにして、じっと見つめ続けた。
「……………」
ただただ驚いて何も言えないという様子の慎也に、思わず笑う。
「驚いたでしょ」
笑うあたしに、彼は戸惑った表情をする。
あたしを見て考えるように唇を閉じる彼を見て、正直嬉しかった。
だって今、確かにあたしはこの人の頭の中を埋め尽くしてる。
それを感じて、やっぱり涙が出そうになった。



