……でも、愛しい人ばかりを映すその瞳から、目をそらしたくないと思った。
彼の、悲しくて寂しい恋心から。
…逃げたく、ない。
「……あたしも、ね」
俯いたまま、呟くように言う。
震えないよう、抑えて。
「……好きな人、いるの」
…喉の奥が痛い。
今にも涙が溢れてきそう。
でも、耐えなきゃ。
変わるって、決めたから。
ぶつかるって、決めたから。
手に入らなくても、失うかもしれなくても。
それでも見つけた大切な感情を、あたしはなかったことにしたくない。
唇をぎゅっと噛んで顔を上げると、驚いたようにあたしを見つめる彼の顔があった。
その表情に、思わずふふっと笑う。



