…だって、そうじゃん。


『トモくんがちゃんと苦しいって伝えなきゃ、みんな気づいてあげられないんだからね!』


利乃ちゃんこそ、隠してるじゃん。

だから俺だって、気づいて助けてあげられない。

泣かせて、あげられない。


………あ。

違う、と思った。

わざとだ。

彼女は、気づいて欲しくないんだ。


自分の弱さに、誰にも…気づかれたく、ないんだ。


「…………」

気づいて、目を見開く。

日光の当たった天井には、窓の外の木漏れ日が影となっていた。


…不安に、なった。

いつか、壊れそうだ。

苦しさを吐き出すこともできずに、ひとりで。

いつの間にか、誰も知ることがないまま。