「……ふ。いや、なんでもない。つーか利乃ちゃん、なんでここがわかったの」
「……空を見上げるには、ここがいちばんいいでしょ」
前を向いたままそう言うと、彼は少しの間驚いたように沈黙して、すぐに「よくわかってんね」と笑った。
「……トモくん、いつも空見てるもん」
彼が、こてん、と私の肩に頭を置く。
心地良い重さで、それは私にのしかかってきた。
「………うん。空、好き。なんでか、知ってる?」
「…うん」
「マジかぁー。利乃ちゃんにはホント、最初からバレバレだったんだなぁ」
笑わなくて、いいよ。
そう言おうとして、言葉を喉の奥に飲み込む。
夏の暑さが、私の頬を赤く染めていく。
…だっていつも、麗奈ちゃんは空を見ているから。
わかるよ、どうしたって。
「……ずっと、好きだったんだけどなぁ」
私の肩に寄りかかったまま、彼はぽつぽつと、その恋心をこぼす。
私は鮮やかな空の青を見つめながら、「うん」と静かに返した。



