青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



……たぶん、今。

彼の隣にいれるのは、私だけだ。





「やっぱり、ここにいた」


学校でいちばん、空に近い場所。

案の定、そこにトモくんはいた。


「…………え」


突然現れて彼を見下ろす私に、彼は目を見開く。

陰になっている壁際に腰を下ろしたトモくんは、空を見上げていた。

「……利乃ちゃん、なんで」

「忘れ物した」

それだけ言って、隣に腰を下ろす。

屋上に吹く、爽やかな夏の風が、私の長い髪を揺らした。


「……忘れ物、って、なに」

「トモくん」


その答えに、トモくんが押し黙る。

私は、笑わなかった。

笑う必要がないと思ったから、笑わなかった。

ただただ彼とは目を合わせずに、空を見上げていた。


やがて、隣から「ぷっ」という笑い声が聞こえてくる。

くっくっと声を押し殺して喉で笑うトモくんに、私はやっと「…なに」と不機嫌な声を出した。