「私、まだ出してない課題があったぁ!」
「はぁ!?」
麗奈ちゃんが眉を下げて、呆れた顔をする。
私は「あはっ」とふざけたように笑った。
「麗奈ちゃんみたいに罰掃除になりたくないから、出してくる〜」
「……そーだね」
「それと忘れ物も取りに行ってくるから、ふたりとも先に帰ってて〜!ごめん!」
パンと両手を合わせて、お願いする。
麗奈ちゃんは大きくため息をついて、慎ちゃんは「まぁ、利乃だし」なんて言ってきた。
「…ちょっとぉ、慎ちゃんそれ、どういう意味」
「冗談。麗奈、行こっか」
「え…あ、うん」
さっさと私に背を向けて、歩き出すふたり。
その後ろ姿を、ぼうっと見つめる。
次第に積もっていく寂しさを、必死にかき消した。
……お似合いだよ、麗奈ちゃん。
「………私は、離れるんだから」
自分に言い聞かせるように、呟く。
そして、校舎のいちばん上を見上げた。



