「私、急いで取りにいってくる!ごめん、待ってて」
「わかったー」
あたしがそう答えると、トモがあたしと池谷くんを見たあと、利乃へ視線を移した。
「…あー、俺も、教室に用事思い出した。一緒に行く」
利乃はほんの一瞬、トモを見つめていたけど、すぐに「わかったぁ」と返事をする。
「じゃあ、行ってくるねっ」
手を洗うのもやめて、あたしはふたりが校舎へ歩いていくのを見ていた。
「…………」
…最近、この組み合わせ、多い気がするんだけど。
利乃はトモとよく話そうとしているし、トモも利乃と一緒にいようとする。
…あたしに『協力する』って言ってくれた利乃はともかく、トモは、なんで………
「小城さん?」
ふたりが歩いていったほうをずっと見ていたあたしに、池谷くんが不思議そうに見てきた。



