「…だから少し、小城さんが羨ましい」
……ああ、やっぱり。
距離は、埋まらない。
*
「あっ、私、教室に忘れ物した!」
手洗い場につくと、利乃とトモは先に手を洗って、待ってくれていた。
けど、あたしが汚れた体操服を見て、「そういえば明日、体育あるね」と言うと、利乃がハッとして思い出したのだ。
手を洗い始めたあたしと池谷くん、そしてトモを交互に見ながら、慌て始める。
「どっ、どうしよ。学校、まだ開いてるかな!?」
「んー、ギリギリ?」
腕時計で時間を確認したトモが、そう答えた。
下校時間と共に、学校は閉まる。
ギリギリってことは、もうすぐ七時になるのか。
夏だから日が落ちるのが遅くて、時間の感覚がわからなくなる。



