青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



彼は、驚いた様子であたしを見ている。

あたしは一度大きく息を吸い込んで、精一杯の声で。


「…っ池谷くんの、笑顔。ときどき、苦しそうに見える…!」


池谷くんが、目を見開く。

…無遠慮、だと思う。

いつも穏やかな、彼が隠している内側に、あたしは入り込もうとしてるんだから。

けど、それでも。


誰より優しい彼が、この先もずっと、あんなに寂しい笑顔を浮かべているんじゃないかって思ったら、たまらなくなった。


あたしを見てると、安心するって言ったけど。

そんなのきっと、ほんの少しの気休めにしかならない。


あたしは、この人が心の底から安心したときの、笑顔が見たいんだ。


彼はしばらくあたしを見ていたけど、やがて静かにこっちへ歩いてきた。

何も言わないことに怖くなって、心臓が激しく脈打つ。

…怒った、かな。

やっぱり、正面からぶつかりすぎた?