「そ、そう言うトモくんは、しゃべってばっかで全然手動いてなかった!」
「俺はちゃんとやってましたぁー。言いがかりはやめて下さ〜い」
「その顔、超ムカつく!」
言い合っているふたりの後ろで、池谷くんと並ぶ。
彼は優しげに目を細めて、ふたりを見ていた。
その目に、安心する。
…彼は今、『ここ』にいるんだと。
遠くを見ていない瞳に、ホッとした。
すると、不意に池谷くんがこっちを向いた。
「わぁっ!」
目があって、驚きと恥ずかしさのあまり、思わず叫ぶ。
池谷くんはもちろん、利乃とトモも言い合うのをやめてこっちを見ていた。
「…どしたの、麗奈ちゃん」
トモがポカンとして言うから、ますます恥ずかしい。
「な、なんでもない!!」
「ぷっ」
横から笑い声が聞こえて、今度はあたしが驚く。
池谷くんは肩を震わせて、笑っていた。



