「それで?それで?誰なの?」
「………」
ちょっと耳貸して、と言い、利乃の耳元に唇を近づける。
ワクワクした様子の利乃に、恥ずかしさを感じながら口を開いた。
「い、…けたに、くん」
唇を離し、顔を見合わせる。
利乃は、ぽかんと口を開いてあたしを見ていた。
やがて、「…ホントにっ?」と目を見開いたまんま声を出す。
顔がますます熱くなっていくのを感じながら、あたしは「うん」と手の甲を頬に当てて答えた。
「やーん!そっかそっかぁ、わかったーっ。私でできることがあったら、協力するねっ!」
うわあ、超女子っぽい会話してる、あたしたち。
利乃のテンションが、最高潮に達する。
「ありがと」
そのはしゃぎように笑いながら、放課後の掃除のことを思い出して、げんなりするのだった。
*
「はぁ、だっる!」
放課後。
体操服に着替え、軍手をはめて、準備万端な状態で花壇の前に立っていた。



