「アハハ、どしたのー?」

「なんでもなーい」

利乃といつも通りの会話をしながら、ちらりと教室の後ろへ視線を向けた。

その先にいるのは、ゲラゲラ楽しそうに笑うトモと、その隣で笑いながら、お弁当を食べてる池谷くん。


…水曜日の放課後は、たくさん池谷くんと話した。

何故だか利乃は、ずっとトモと話してたし。

もしかしたら、あたしの気持ちに気づいているのかもしれない。

…いや、わかんないけど。

とりあえず、そろそろ利乃にも言っておきたいなと思ってたから。


「ねえ、利乃」

「んー?」

「あたしさぁ、…好きな人、できたっぽい」

彼らのほうを見つめながら、小声で話す。

利乃は一瞬沈黙したあと、「…ええっ!?」と驚いた。

…リアクション、良すぎだよ。


「ほ、ほ、ホントにっ…!?」

「…うん」

「あの麗奈ちゃんが!?きゃあ、やっだー!」

何が『やだ』なの。

利乃は高いテンションで、バシバシ肩を叩いてくる。