青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。




そして何も言わずに、私の隣に並ぶ。

黙って彼を見上げる私に、彼はやっぱり無言で。


…ぽん、と、私の頭を撫でた。


「…トモ、くん」

「…………」

その手が優しくて、目を細める。

視線を後ろへ動かすと、私はもう一度「トモくん」と呼んだ。

……ごめんね。

二度目の言葉を、心のなかへ飲み込んで。


麗奈ちゃんと慎ちゃんは、穏やかに笑いあっていた。






「じゃあバイバイ、慎ちゃん」


家の前で、いつも通り彼に手を振る。

そしていつも通りの返事をして、彼も隣の家へ帰っていくのだと思っていた、けれど。

今日は、返事が違っていた。


「利乃」


その声に、ずっと笑い続けていた表情が、固まる。

それでも笑おうと必死になりながら、私は「…なに?」と小さく返した。