青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。




「慎ちゃん、トモくんっ!」


教室へ出ようとするふたりへ、急いで声をかける。

ふたりが、驚いた様子で振り返った。


「一緒に帰ろー!」


そう言って、麗奈ちゃんに腕を絡める。

「えっ、利乃っ…」

「ねっ、帰ろ帰ろ!」

カバンを持った麗奈ちゃんを引っ張って、ふたりの前へ。

麗奈ちゃんは、口をパクパクさせて私を見ている。

慎ちゃんとトモくんは少しの間ぽかんとしていたけど、すぐに面白そうに「いいよ」と言ってくれた。


「どしたの、利乃ちゃん。どっか行きたいとこでもあんの?」

「なーに。用事がなきゃ、誘っちゃいけないのー?」


むぅ、と頬を膨らませると、トモくんはニヤッと笑って、手で私の頬を挟んだ。

そして、そのまま押してくる。

間抜けな顔で口から空気をプシュウと吐いた私に、容赦無く爆笑してきた。

「ちょっとやだ、やめてよー!」

結構本気で恥ずかしかったんですけど、今の!

かぁっと顔を赤くした私に、今度は麗奈ちゃんが「えっ、顔赤くない?利乃」と笑いながら言ってきた。