【テーブルにお金を置いておくから、夕飯は買って食べてね】
……この間の、男の人のところかな。
この文章も、もはや見慣れたものだ。
夕方から翌日の朝にかけて、留守にしますという連絡。
大体は、男のところに行っている。
【わかった】
その一言だけ返信して、携帯を置く。
麗奈ちゃんを見ると、彼女は慎ちゃんの席の方を見ていた。
「しーんや。帰ろ」
「うん」
席を立った慎ちゃんに、トモくんが声を掛ける。
麗奈ちゃんは、その様子を揺らいだ瞳で見つめていた。
…ほんと、わかりやすすぎるよ、麗奈ちゃん。
今週はトモくんに気を遣って、あのふたりに一緒に帰ろうと誘ったりはしていなかった。
…けど。
今度は麗奈ちゃんに、四人でいる理由が出来てしまったみたいだ。



