「……………」
その横顔をじっと見つめてみても、彼は反応しない。
というより、一生懸命無視を決め込もうと、目をそらしている感じ。
夏の日の光が、彼の髪を透かす。
その様子に、私は目を細めた。
「……その傷、原因は慎也だろ」
不意に、トモくんがそう言った。
私は驚きもせずに、ただ静かに「うん」とだけ答える。
…彼ははじめから、わかっていた。
だから昼休み、私は『内緒』と言ったんだ。
最近になって、特に自分へ向けられる女子たちの目が、厳しくなっているのには気づいていた。
確かに彼女たちの言いたいことも、わかる。
慎ちゃんっていう幼馴染がいるなら、仲良くするのはその人だけにして、他の男には手を出すなって。
そう、言いたいんだろう。
…うん、わかるよ。
けど、ダメなんだ。
それだけは、出来ないから。



