青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



ーーパンッ。


教室内に、乾いた音が響いた。






「ちょ、利乃!?どしたのそれ!」


自分の教室へ戻ると、麗奈ちゃんが私の頬を見てガタッと席を立った。

「赤くなってるし、口元切れてるよ」

心配そうに駆け寄ってきてくれる麗奈ちゃんに、「やられた」と笑う。

「…やられたって…まさか、また!?」

「アハハ、平手打ちくらうとは思ってなかったぁ」

一年の頃にも呼び出しを受けたことはあったから、麗奈ちゃんは知ってる。

けど周りのクラスメイトたちは、痛々しそうに目を細め、私を遠目にみていた。

何で行ったの、と抱きしめてくれる麗奈ちゃんに、安心する。


…中学の頃は、仲の良い女の子の友達がいなかった。

リーダー格の女子から呼び出しまで受ける私と、仲良くしようなんて思う子はいなくて。

だから高校で知り合った麗奈ちゃんには、驚いた。

中学の頃のように、女子にどんどん嫌われていく私と、それでも一緒にいてくれたから。


…だから、好き。

麗奈ちゃんだけは、心の底から大事。