ーーパンッ。
教室内に、乾いた音が響いた。
*
「ちょ、利乃!?どしたのそれ!」
自分の教室へ戻ると、麗奈ちゃんが私の頬を見てガタッと席を立った。
「赤くなってるし、口元切れてるよ」
心配そうに駆け寄ってきてくれる麗奈ちゃんに、「やられた」と笑う。
「…やられたって…まさか、また!?」
「アハハ、平手打ちくらうとは思ってなかったぁ」
一年の頃にも呼び出しを受けたことはあったから、麗奈ちゃんは知ってる。
けど周りのクラスメイトたちは、痛々しそうに目を細め、私を遠目にみていた。
何で行ったの、と抱きしめてくれる麗奈ちゃんに、安心する。
…中学の頃は、仲の良い女の子の友達がいなかった。
リーダー格の女子から呼び出しまで受ける私と、仲良くしようなんて思う子はいなくて。
だから高校で知り合った麗奈ちゃんには、驚いた。
中学の頃のように、女子にどんどん嫌われていく私と、それでも一緒にいてくれたから。
…だから、好き。
麗奈ちゃんだけは、心の底から大事。



