「……ヒヨコ」
暗闇は、まだ終わらない。
「……はい」
そんな中、頼りにするのは。
朔ちゃんじゃない。
「…ちょっと、カミナリを忘れる話をしよーか」
きっと、すぐ近くにいる、飛呂くんだ。
「…カミナリを、忘れる話…?」
「そ」
なんだろう?
そんな話があるなら、喜んで聞くよ。
でも、わたしは少なくとも、そんな余裕はないし。
早く、早く話してほしい。
「…飛呂、く…」
「ヒヨコ」
「…っ、」
外は、うるさいはずなのに……─
「さっき、お前が聞いたことだけど」
「…?」
この中は、妙に、静かだ。
「…俺、お前が聞いた通り、お前と昨日の幼なじみのことが気になった」
「…………」
っえ…………?



