ビター・オア・ミルキー



「…お前な……」

「はっ、はい!」



のそのそっと、地面に転がったシャーペンを取りながら、飛呂くんは眉間に皺を寄せて。



「なんっで、メアドの話からカノジョの話に飛ぶんだよ、ほんっと頭悪ぃな!!」



とんだ罵声を浴びせてきました。


め、メアドからカノジョの話?!
別にとんだ訳じゃないんだけども…。


「ごめん…。だって飛呂くんのメアドに
『ラブ』って入ってたから…」

「はぁっ?!」

「だから、てっきりカノジョがいるのかと…」



ぼそぼそ、と呟きながら、作業を進める。


「…っ」


なぜか今は、飛呂くんの方を見れないよ。


恥ずかしい。



「…あのメアドは」

「……」


「…あのメアドは、ケータイ変えるときに姉ちゃんに勝手に作られただけだよ」



……えっ………。



「俺がハンドボールやってんのと、俺の名前を入れたって言ってたし。俺が部活ばっかやってんの知ってるから『ラブ』とか訳分かんないモン入れたんだろ」

「………」



へえ。飛呂くん、ハンドボール部なんだ…。

ってのは、今はよくて!!



お姉ちゃんが、考えたメアド…

だったのか…………。