「わたしそろそろ帰るね」
「んー。もう大丈夫なの?」
「え、うん」
「そっか。立ち直り早いな」
ばいばい、と手を振る朔ちゃんを見ながら、部屋のドアを閉める。
ガチャン、と音がしたのを確認して、わたしは暗い廊下を通って自分の家へ帰った。
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「あ、おかえり君花。あんたどこ行ってたの?おつかい頼みたかったのに~」
帰ったら、ママが夕ご飯を作っていた。
ごめん、とつぶやくと、美味しそうな匂いがする唐揚げが目の前に。
…おなかすいた…。
「美味しそうだね」
「そうなの。鶏肉が安くてね。これを朔ちゃんのところに持って行って欲しかったんだけど」
「えっ?!」
朔ちゃんのところ?!



