「それにしても、懐かれたもんだな、俺も」
はぁ、とため息をつく朔ちゃんは、机に向かって本を広げた。
大きい本棚が三つもある朔ちゃんの部屋は、本のにおいがする。
頭も良い。優しい。顔もそこそこ。バスケ部。
色々な才能を持っているもんだから、女の子だけじゃなく、男の子からも人気者だ。
…モテないわけじゃないから、たまには反感も買うらしいんだけどね。
「…朔ちゃんは、わたしのこと、鬱陶しいって思う?」
「ん?んなわけないじゃん?」
ほらね。そういうと思った。
わたしと朔ちゃんはそういう関係。男でも女でもない。
誰に何言われようと、朔ちゃんがいない生活なんて考えられない。



