ビター・オア・ミルキー



「君花って、変わってんな」

「…そう?」

「うん。聞いたことがありそうで、聞いたことない」

「そっか…」


どうしよう。くるしい。

心臓から出た血液が、頭まで響いて、熱があるように痛む。



「…ひ、飛呂って名前も、わたしは初めて聞いたよ?」



会話、続けちゃってもいいかな。

うるさい女って、思われないかな。


「あー…。漢字は珍しいって言われるけどね」

「そうなんだ」

「うん」


…すごいなぁ。

新学期始まって一週間。
飛呂くんとは、一言二言しか話したことなかったのに…。

今は、二人きりで、教室にいるんだ。



「そーいえば」


…また、飛呂くんから。


「俺の名前、覚えたんだ」


そして、わたしの方をじっと見つめて。

その度に、いちいちわたしの心は反応する。