飛呂くんのことは、別に好きではない。
アニカが面白がっているようなものでもないし、ただ、なんというか、少しだけ、気になる存在というか。
あんなにカッコいいのに、他のことにはあまり関心がないところとか。
女の子に騒がれてるのに、そんなのモノともしないところとか。
…なんか、不思議だなって、思うんだ。
「背、高いよね、飛呂くん」
「カッコイイって、思ってる?」
「…そんなことないけど」
そんなんじゃない。
かっこいいけど、そんなんじゃない。
…そう、思っていたのにな。
「とにかく、もう吹っ切れたから、学級委員頑張る」
ぱくぱく、と
卵焼きを口に放り込んで、お弁当箱をしまった。
「そうだよ、頑張らないと、クラスの女子が泣くよ」
「…そうだよね」
頑張らないと。
そうすれば、また少し、飛呂くんとの会話が増えるかな?



