17年間続いた重みは、きっと当人同士にしか分からないんだろう。
「朔ちゃあ~…ん」
「え、どうしたの君花」
「う…ッ、う…、釘宮くんに振られちゃったよお~……」
「え」
潮田 君花 (しおた きみか)、17歳。
2ヶ月付き合っていた彼氏から、今日振られてしまいました。
随分、気温も上がってきた3月。
もう少しで3年生。
人生3人目の彼氏だった釘宮くんと、同じクラスになれることを夢見ていました。
「まーたかよ。まったくしょうがねぇな。ほれ、涙拭け」
「っ…」
真っ白なティッシュを差し出すのは、わたしの幼馴染。
加野 朔太郎 (かの さくたろう)くん。
生まれた病院が一緒。母親同士が仲良くなって、気が付いたら家もすぐ近所にあったという、なんとも運命的な出会いを果たした結果だ。
茶色のかかったさっぱりとした髪が良く似合う、お兄さん的存在。
誕生日はわたしの方が早いのに、誰が見ても年上に見られるのは朔ちゃんだ。