「優しい気さくな加野くん。クールで物静かな雨宮くん。ビターとミルキーだねーって」

「えー…」

「どっち派?って、騒いでる女子も多いって。どうする君花」

「…」


朔ちゃんが、前から女の子に人気なのは分かってたこと。
そこそこかっこいいくせに、あんなに優しいんだから、寄ってこない女の子はいないだろう。


…それに対して、飛呂くんは黙ってた頃からクラスの女子の標的になってたわけだし。3年の終わりときたら、もう全学年に知れ渡っていてもおかしくはないと思う。


…でも、ビターとミルキーねぇ。

うーん…


「俺は4月から君花と離れるの、わかってる?お前は同じ大学だろ、ヒロクン」

「だからヒロクン言うな、きもいんだよ」


うーん…。


ビターとミルキーというか、なんというか…。
そういうのじゃなくて、なんかもっと。



「わたしは、朔ちゃんはミルキーに見えて、中身はわりとビターだし、飛呂くんはビターに見えて、中身はすごくミルキーだと思うけどな」


「…あぁ、うん、わかる気がする」


わたしの考察に、渋い顔でうなずいてくれる高橋くん。


「じゃあ、二人のともカフェオレでいいじゃん」


それに対して、適当な結論を出す、アニカ。


こんな風に、わたしたちの日常は、前よりももっともっと、なんだかんだ、楽しくてたまらないものになっていた。