「大体お前、きみかのこと諦めるんじゃなかったのかよ、邪魔なんだよ」
「はい?俺一言もそんなこと言ってないよ。なぁ君花」
…はぁ、また始まった。
朔ちゃん、こんなとこでエネルギー使うから疲れちゃうんじゃ…。
なんて思ったりもするけれど、なんだか2人はものすごく楽しそうだし、飛呂くんも思いっきり素を出してるもんだから、面白くってそのままにしてしまう。
「…ねぇ、君花」
後ろに座っていたアニカが話しかけて来る。その隣に座っている高橋くんは、「またかよ…」と頭を抱えていた。
「最近さ、あの2人が仲良くなったせいで、女子がすごい騒いでるんだってよ」
「え?なんで?」
…あれは、仲が良いと、言っていいのか。
まぁいいや。
「なんか、加野くんは女遊びやめて雨宮くんと絡むようになってるし、雨宮くんは取っ付きづらい雰囲気が柔くなって、これまた加野くんと話すようになってるし」
「話すってか、喧嘩だけどな」
コソコソと小声で、でも少し興奮気味に話すアニカに、高橋くんはするどいツッコミを入れる。
…高橋くんは、飛呂くんが朔ちゃんとたくさん話すようになってるから、少しだけ寂しいらしい。
「…ふーん…」
2人の言い合う様子を、3人で観察。そんなことが、最近の日常になっている。