「…きみか」
ぎゅっと力を込めてくれる両手。
そう、わたしは、この手を掴みたいと強く思ったの。
だから、飛呂くん、
「…もう一度…っ、わたしと一緒に、となりで、時間を過ごしてもらえませんか…っ」
「…っ」
言いたいこと、まとまらない。
結局さっきの言葉も言いかけた。
だけど、わたしの伝えたいことはたったひとつで、それを伝えられるのであれば、どんな言葉だって構わないかな、とか。
「飛呂くんが好き…っ。わたしは、雨宮飛呂くんが大好きです…!」
ねぇ、朔ちゃん。
わたしね、こんなに泣きながら、誰かに好きって伝えたことがなかったんだ。
“本当の恋は、くるしいんだよ”
…少しは、朔ちゃんの言ってた“本当の恋”に、近づくことができたかな。
前よりも、わたしはステップアップできたかな。



