『◯◯駅〜〜◯◯駅〜〜』
「…ついた」
電車に乗っている時間はたった5分ほどなのに、ひどく長く感じてしまった。
それは、やっと飛呂くんに会えた安心感と、この後どんなことが待ち受けているのだろうという不安と緊張感のせいだ。
…きっと。
「ヒヨコ、このあとはもう家?」
「うん、帰るだけだよ」
「そうか…」
しばらく続いた沈黙。きっと飛呂くんは、わたしと落ち着いて話せる時間と場所を探しているに決まってる。
「…きみか」
「ん…?」
少しずつ、空は群青色が大きく広がってきていた。
…もう、きっと太陽は雲の下。
名前を呼んでくれた飛呂くん。その声は、今までと何も変わりはなかった。
「…きみか」
「……はい」
「…こっち、来て」
駅から、飛呂くんに手を引かれてしばらく歩いた。
連れてこられたのは、駅のすぐ近くにある小さな小さな広場。
もう、そこで遊んでいる子どもたちの姿はなくて、サラリーマンや学生の通り道の一部にしかなっていない。



