ぽかんとしているわたしの前で、2人はしばらく言い合いを続けていた。
…朔ちゃん、本当に心の底から笑ってる。
あれは、楽しい時の顔だなあ。
飛呂くんも、あんな顔をするの、男の人では高橋くんだけだったのに。珍しい。
なにがどうなっているのか、よく分かんないけれど。
…まぁ、2人が楽しそうなら、それでいいかなとか、ちょっと思ったり。
「まぁまぁ、安心しなよヒロクン」
「そのヒロクンてやめろ、腹立つ」
ぽん、と、飛呂くんの肩を叩く朔ちゃん。…今の所、朔ちゃんのほうが少しだけ上手みたい。
飛呂くんの方を見て、ニヤッと笑ったと思ったら、わたしの背中をトンッと押した。
…それは少しだけ強引で、でも、やっぱり優しくて。
最後は、少しだけ、悲しみもこもってた。
「俺は、今日ちゃんと自分の気持ちを伝えて、見事にフラれましたので。もう、ご心配なく」
「………」
……朔ちゃん。
「あとは、君花とヒロクンが話す番だよ。ま、お前もフラれるかもしれないけどね〜〜」
「あ?!」
上から、飛呂くんの大声が落ちてくる。
…でも、わたしは朔ちゃんの手によって、飛呂くんの腕の中にすっぽりとおさまっていた。
久しぶりの、飛呂くんのにおい。



