ビター・オア・ミルキー



「…なんで、君花が謝るの?」

「だって…っ、今までわたし…朔ちゃんに…」

「いーんだよ。言えなかった俺が悪いんだから」


泣くなよ、と、頰をつねられた。

その痛みの中にも、優しさが込められていて、やっぱり朔ちゃんは朔ちゃんなんだって思いが生まれてくる。

…これから先も、きっと朔ちゃんは、朔ちゃんなんだよね。


「…君花」

「…っ、はい…………」

「よかったらさ、返事、聞かせて欲しいんだけど」


だんだんと、オレンジ色になっていく空。
その下で、朔ちゃんはわたしの手を握りながらそう言ってくれた。


「…へん、じ…」

「そう」


困ったように笑う。朔ちゃんは、わたしの気持ちを本当にどこまでも分かっているから。



“天秤に、かけてみればいいんだよ”



…きっと、そんな残酷なことをしようとしているわたしにも、気づいているのかもしれないね。

「…君花。俺を好きかどうかじゃなくていいんだよ」

「…っ」

「……君花が、今、男の人として好きなのは、誰?」



“君花にとって、どっちが大切か”



…わたしが、今、男の人として好きな人…。




わたしの、大好きな、男の人…。