プルルルル……プルルルル……



…朔ちゃん、電話はいつも出るから、今日も出るはずなのに。


「…っ」


プルルルル……プルルルル……


…出ない。本当に、今日はどうしてしまったんだろう。

そんなに、わたしと話したくないと思っているとか…。ただ単に、何か用事があって、出ていないだけなのか。

…よく、分からない。



「………朔ちゃん」



もしかして、家にもいるのかな。また、女の子連れ込んで、いろいろと…。


「…」


そうなっても、仕方ないかな。
朔ちゃんが、わたしと話したくないと思っているのなら、無理して押しかけたくないし。


…また、今度来てみよう。



「…あ」



いつの間にか下を向いていた顔を挙げたら、空は茜色に群青の空がかかっていた。

明日から、夏休み。
高校生最後の夏休み。


…でも、ただ過ぎて行くわけではなさそうだと予想するのはたやすくて。


きっと、この季節に、

わたしは何かを変えなければいけないのだろう。