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家に帰ってきてからも、身体も心もポカポカしたままだった。アニカにぎゅっと抱きしめられてから、なんだか少し前向きになれた気がする。
「…天秤、か」
…朔ちゃんと飛呂くんを、天秤にかける。今までそんなことやっていいものかよく分からなかったけど。
そういう方法も、中にはあるのか。
今回はわたしがどちらを選ぶかって話になっていて、それを飛呂くんは望んでいる。きっと、朔ちゃんとあんなことがあってしまったわたしの気持ちが、グラグラとしたままなのが不安なんだ。
…でも、朔ちゃんはどうなんだろう。そんなこと、望んでいるのだろうか。
「…」
…話してみないと、分からないか。
もし、わたしが朔ちゃんとも話して、天秤にかけて、そこから朔ちゃんを選んだとしたら。
…わたしは、朔ちゃんが好きだということになるのかな。
朔ちゃんとはずっと幼馴染で育ってきて、もう、本物の家族みたいで…。
そんなこと、考えたことはなかったけれど…。
朔ちゃんも、そうなのかな。それとも、わたしとは違う想いを抱いていたりするのかな。
「…」
部屋を見渡すと、どこもかしこも朔ちゃんばかり。
小さい頃から飾ってきた1枚1枚の写真が、わたかの部屋を囲っている。
机の上には、数冊のアルバム。その中にも、わたしたちの時間は流れている。
「…朔ちゃん、」
アルバムを開くと、いつだって昔に戻れるような気がした。
一緒に入ったプール、お風呂。公園の砂場で遊んだ日。遊園地、動物園、水族館。保育園から中学校の卒業式まで。
…朔ちゃんは、もうずっと、わたしの隣にいてくれてるね。
「…朔ちゃん…」
飛呂くんのことは好き。きっともう、飛呂くん以上に心臓がドキドキする人は現れないんじゃないかって思ってる。
…でも、わたしは、どうしても恋愛の好きで、朔ちゃんを消すことはできないんだ。それは、これから先もずっと変わらないんだ。
どちらを選んだとしても、朔ちゃんが特別なのは、絶対変わらないよ。
…ううん、変えられないよ。
「…朔ちゃん…っ」
アルバムの向こうで笑ってる朔ちゃんを見ると、自然と涙が溢れてきた。
もう、あれからずっと会っていない。朔ちゃんは今、何をしているのかな。どんな想いでいるのかな。わたしのこと、まだ怒ってるのかな。
…わたし、こんなことしてて、いいのかな。



